すばるは巣立った
先取りの心配は無駄だからしない。
これが私のモットー。
FRIDAYの記事もサイゾーのニュースも、何も気にしてなかった。
そもそも、関ジャニ∞の中核である渋谷すばるが抜けるなんて、そんな馬鹿げたことがあるはず無かった。
私は8ESTからのド新規だけど、すばるの変化を分かっている気でいた。
過去のすばるならまだしも、今のすばるはアイドルである自分に誇りを持ってるし、これまでの苦悩や葛藤を一つずつ下ろして、必死に掴んでいた赤いコードを手放して、歌に縋るんではなく歌を相棒として、穏やかで幸せだろうと思ってた。
すばるは歌とともに歩む幸せを得たのだから、あとはそれを継続させるだけだと、そう思ってた。
というか、何も思いもせず、ただ当たり前の関ジャニ∞とエイターの日々が続くことを疑問に思ったこと、意識したこともなかった。
2018年4月15日、午前10時。
事務所から一通の異様なメールが来た。
現実的な友達が口々に不安を感じていても、まだ大丈夫、そう思いたかった。
先取りの心配はしない私が、
「先取りの心配はしたくない、したら負ける」
そう思い始めていた。
脱退、退所。
何にか分からないけど、私は負けた。
だけど、公開されたメンバーのメッセージと、何より会見で偽りなく話す言葉を聞いたら
「分かったよ、そうだよね」
って思うしかなかった。
そうだよね。
渋谷すばるはそんなに器用じゃないよね。
自分のやりたいことと、関ジャニ∞の進む道に少しでもズレが生じたら、どちらも程よくなんて出来ないよね。
命懸けでここまで来たんだもんね。
これからも命懸けでいくんだもんね。
二つともに一つだけの命はかけられない、そんな適当なことしたらどちらにも失礼だって、本気で思っちゃうんだよね。
本当のことで生きて
メンバーにもエイターにも本当を伝えて
大事なものに何かを偽ることは最も苦手で。
関ジャニ∞とエイターのことが大事だから、ほんの少しのズレも許せなかったんだろうな。
全て勝手な推測でしかないけど、そう感じてる。
相手を大事に思うから、だから本当の自分で向き合う。その結果がこの選択だろうから、そういう渋谷すばるが好きだから、そこが渋谷すばるを好きな理由だから、否定できない。
分かったよ、そうだよね。
そう言うしかない。
多分メンバーもそうなんじゃないかな。
渋谷すばるが選択した道は、自分が大好きな渋谷すばるそのもので、だから応援せざるを得ない。
だけど、感情論としては
「何でだよ!」
ってなるしかなくて。
どこまで真面目なんだよ、どこまで融通が効かないんだよ...
この選択は紛れもなく渋谷すばるそのもので。
だけど渋谷すばるがこういう選択をするってことを、穏やかな顔で笑うようになったすばるに慣れてしまって、すっかり平和ボケした周りの人間は忘れてたんじゃないかな。
繊細で壊れそうで、歌と仲間に縋るようにして生きてた関ジャニ∞の宝は、いつの間にか強くなって前を見て、新しい世界に羽ばたく夢を見てしまった。
何だよ、子育てかよ。
可愛い子には旅をさせろ、かよ。
実際、ヨコヒナを筆頭に年下組だって何となくすばるを可愛がっている、そんな空気感があったと思う。
すばるが笑ったら嬉しい、すばるが幸せそうなら嬉しい。すばるが伸び伸び歌っていたら誇らしい。
見てよ、うちの子すごいでしょう?
そんな雰囲気がメンバーにも、エイターにもあったように思う。
それが、子どもがいつの間にか親を超えて旅立つように、すばるは誰にも縋る必要が無くなったどころか、一人で次の世界へ旅立てるまでになってた。
ポカーンだよ。ポカーン。
え?この家出てくの?あんなに好きだったのに?
何言ってんの?
だけど、巣立つ側の言葉は思ったよりずっときちんとしてて、そうあって欲しい姿そのもので。
自分達が望んだ姿そのもので。
そこのジレンマに、メンバーもエイターも苦しんでるんだと思う。
もっと、甘えてもいいじゃん。
もう少し緩くてもいいじゃん。
でもそれじゃ、自分達が好きな渋谷すばるじゃないじゃん...
渋谷すばるが好きだから
行ってこい
そう言うしかないじゃん...
あの会見は、メンバーっていうより巣立ちを迎えた家族を送り出すようだった。
強がる父、泣き出す母、拗ねる弟。
そして、家族への感謝を胸に旅立つすばる。
誰も止められっこないよ。
大きくなって帰ってきてよ。
どこにいても幸せでいてよ。
寂しいけど、きっと大丈夫って信じてるよ。
そうやって送り出したあとは、各々が続く日常の中で折り合いを付けていくしかない。
そんなことを思わせてくれる会見だった。
いい会見だった。
もうそれしかないや。
巣立ちを止めたら毒親になっちゃうし。
行ってこーーーい!!